歌詞からシャニマスっぽい曲とは何かを考える記事 その4です。
前回の記事
はじめに
今回はユニット編第2弾ということでアンティーカの歌詞を見ていこうと思います。
方法
今回も「KH Coder」を用いて、テキストマイニングを行っていきます。
具体的な方法については割愛します。初回の記事をご覧ください。
対象
2020/12/11までにCDとして発売されているアンティーカ楽曲 計6曲
頻出語
まずは今回も歌詞の中に出てきた上位30語を見てみましょう。
最多出現の「Realize」は幻惑SILHOUETTEの歌詞に繰り返し登場する単語です。そのため「アンティーカらしさ」を推定する語とは言えません。
カタカナの語や英語が非常に多くを占めている印象を受けます。アンティーカに限らずゴシックをイメージした楽曲にはカタカナの語や英語、もしくは存在しない造語が多く含まれることは少なからずあります。それにしてもアンティーカの場合は多い感じがしますが…
共起ネットワークを見る
次に「共起ネットワーク」という頻出語を視覚化した画像を見てみようと思います。
今回は「未知語(品詞が分析出来ない語)」を除外せずに画像化しました。
この画像はアンティーカ楽曲の中で単語が3回以上登場した語のうち、特に繋がりが強い単語を視覚的に表したものです。
円が大きくなるほど単語が多く用いられいるという意味になっています。線で結ばれている単語は頻繁に共に出現しやすい単語です。同じ色の円は結びつきの強い単語をグループ分けしたものです。
まず大きな特徴として挙げられるのは、今までのテキストマイニングの際に頻繁に登場していた「空」という語が画像内に登場しなかったという点です。それどころかアンティーカの楽曲には「空」が1回しか単語として登場しません。もちろん登場しないからといって「シャニマスっぽいユニットではない」という事では無く、単純にシャニマス全体のイメージからアンティーカが少しかけ離れているためであると思います。
むしろ前回テキストマイニングを行ったイルミネーションスターズは、シャニマスのイメージに極めて近いユニットであるため必然的に「空」という単語が多く登場したと考える方が納得できます。
誤解を恐れずに表現すると、イルミネはシャニマスのユニットの中でもかなり異端な存在ということになります。もちろん悪い意味で異端という意味ではありません。
また次回以降に登場するシャニマスのイメージからかけ離れていないユニットでも「空」という単語が登場しない事もあり、楽曲に歌詞に「空」が登場=シャニマスらしくないユニットということにはならない事が理解できます。
よって今後もイメージに近い遠い関係なく「空」という単語はそれほど多く登場しないユニットが存在することになります。(事実ALSTROEMERIAの楽曲には「空」は2回しか登場しません)。
さて少し話がそれてしまったので話を戻してアンティーカの歌詞について見ていくとしましょう。
※この画像は先ほどと同じ画像です
まず画像を見て目に付くのが大きな円で現れている「世界」や「今」、「闇」といった単語です。また「ウタ」や「運命」といった語も多く登場しています。
傾向としては、全体曲やイルミネーションスターズの歌詞で登場していた「未来」や「光」といった単語とは正反対の語が多く登場している印象を受けます。
ここで改めて公式サイトに掲載されているアンティーカの説明文を見てみましょう。
回せ、錆びついた運命の鍵を
胸に燻る焔を「ウタ」に、孤独な泪を「ネガイ」に変える、新世界の革命的アイドルユニット。ゴシックなドレスを纏い、彼女たちは希望を謳い続ける―。
この説明文からも分かるようにアンティーカのユニットの世界観は独特です。文体もいわゆる「中二病」っぽさが感じられますが、書いてある本質はやはり共通したシャニマスらしさ、というよりもアイドルらしさが垣間見えます。
胸に燻る焔を「ウタ」に
燻る(いぶる)には「炎が出ずに煙ばかり出ている」というような意味があります。焔(ほむら)には「炎」という意味だけでなく、「激しい感情で燃えるような心」を例える際にも用いられます。
つまりこの一行には「胸に秘めている感情を歌(ウタ)に変えて感情表現する」みたいな意味が込められているように感じます。
そして再度共起ネットワークの図を見てみると、「ウタ」という語の周辺には「世界」や「声」、「Flame」、そして「変える」と言う語が線で繋がっているのが分かります。
声は「歌声」、Flameは「炎(焔)」と考えると何となく歌詞は、ユニットの説明文と一致しているような気がしてきます。
世界は色々な捉え方が出来ると思います。そのまま「世界全体」という意味にも捉えられるかもしれません。あるいは「彼女たちが見ている(形成している)世界」という意味にも捉えられると思います。前者を”広い世界”と表現するのならば、後者はある種では”狭い世界”と表現できると思います。
もしくは
急げ灯すんだ“ウタ”という世界を変えてく Flame
とバベルシティ・グレイスの歌詞にもあるように「ウタ」(歌)の世界を変えていく…というとてもアイドルらしい意味にも捉えられるかもしれません。
広い世界・狭い世界・ウタの世界…どれであったとしても彼女たちは、世界を「変える」という強い意志を持っている事には変わりありません。
アンティーカが”新世界の革命的アイドルユニット”と評されるのも何となく納得が出来ます。
アンティーカの楽曲の歌詞は”アイドルらしい輝き”の表現というよりも、”アイドルへの向き合い方”や”アイドルにかける情熱”の表現に寄っている感じがします。
イルミネーションスターズと正反対の語が多く登場しているのは、こういった表現の違いが歌詞に現れているからなのかもしれません。
まとめ
- 「世界」や「今」、「闇」、「ウタ」、「運命」といったイルミネーションスターズとは正反対語の語が多く歌詞に登場する
- アンティーカの歌詞はアイドルへの向き合い方やアイドルにかける情熱の表現に寄っている
今回はアンティーカの歌詞について見ていきました。
次回は放課後クライマックスガールズ編です。年末までに出せるように頑張ります。
※追記(2021/1/26)
諸事情によりシャニマス編は一旦ここで完結にします。理由としては
- 既に記事にしてきた結果とそれほど内容がこの先も変わらない
- この記事から次の記事を出すまで時間が空きすぎた
- シャニマス内だけでの分析・比較より他ブランドと比較した方が、差異が出やすい
といった理由があります。
なおテキストマイニング記事自体は今後も続きます。次回からはミリオンライブ編をしばらくやっていきます。
初回のテーマはまだ決まっていませんが、多分全体曲を分析すると思います。
おまけ
歌詞ごとの特徴を見てみようのコーナー
おわり